難しいこと。知らないこと

現在、1950年生まれの異色の哲学者、内山節氏の書籍を読んでいる。

高卒で独学で哲学に乗り込み、23歳で雑誌投稿し、すぐに持論が書籍化された、ある意味、天才である。

内山氏の歩みを読み、天才とは、やはり、何にも左右されない集中力であると考える。

略歴を紹介しておく。

東京都世田谷区出身。東京都立新宿高等学校卒業。高校卒業後、大学などの高等教育機関を経ておらず、大学などの研究職についていなかったが、2004年から2009年まで立教大学の特別任用教員(大学院異文化コミュニケーション研究科特任教授)としても活動、その後、東京大学大学院人文社会系研究所兼任講師、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授などを歴任。1970年代、渓流釣りなどの縁から群馬県の上野村に住むようになり、現在でも、東京と上野村との往復生活を続けている。上野村では畑を耕し、森を歩きながら暮らしている。2001年、特定非営利活動法人森づくりフォーラム理事。現在、同法人代表理事。森林づくりの活動に関わる一方で、哲学者としても「働くこと」の意味を社会に問うている。


内山氏の書籍を読みたくなったのは、中日新聞で掲載されていたある市議会議員の追悼記事を読んだことによる。その市議は、道半ばで病死したのだが、自分の信念を曲げず、行動力で、政策をまとめる力があった。その市議が影響を受けていたのが、内山哲学であったという。

内山氏は、1970年代ぐらいから、すでに、地域づくり、地域の再生について深く考え、言及をしてきた。若いときから人間の本質を考える中、特に資本主義下における人間と労働の関係について多くを論じ、著書を残し、最終的に、ローカルな暮らしあり方や地域的な視座に行き着いたようだ。

また、内山氏は、難解な言葉を一切使わず、平易な日本語をあえて使う。

哲学は学問でなく、美しく生きるためにある。

という氏のポリシーがそうさせているのだろう。

わかりやすさ。

私はこの部分が不得意である。

難しいことでも翻訳できるのが、真の配信者であることは理解しているが

どうも、翻訳技術が未だに身についていない。

政治家として、市民に伝えるためには、かなり重要なスキルである。


まあ、しかし、知らないこと、難しいことに出会った時に、

多くの人はどうするのだろうか。

調べるのは、面倒なことである。

特に今の自分に関係ないこと、知らなくても困らないことを

あえて、自分で調べる人は、実際には少なく思う。

また、時には、自分が知らないことをとうとうと語る人を見て、

コンプレックスと嫉妬ゆえか、声高く揶揄する人もいる。


そんなことを知っていても役にはたたん。

おまえは、理屈っぽい奴だ。

頭が良いだけでは世の中は渡れない。


まあ、確かに理屈っぽくても、人間関係的に信頼関係を作れねば、

批判や揶揄の的になるのはわからなくもないが、それで、全否定するのは、

いささかもったいないようにも思うので、私は、耳を傾けるようにしている。

それに、知らないことは、私は知りたいし、知らないことを知っている人が目の前にいるのは、大変、ラッキーな状況である。


多くの大人は、子どもに成長すために、学習をしてほしいと願う。

時には、学ばない子どもを叱責したりもするが、

では、学習や勉強とは何か?

なぜ、大人は子どもたちに、学習することを強いるように推奨するのか?


では、あなたは、今も学習しようとしているか。

成長とは、果たして、子どもだけのものなのか。


時代は、恐ろしいスピードで変化し、複雑化している。

10年前の常識、いや、3年前の当たり前が、もう当たり前でない。

また、スマホの登場で、インターネットがポケットサイズになった今、

情報量は、昔の何十倍、何百倍になり、価値観の多様化とフラット化。それによる価値観での棲み分けや分断が、刻々と進行している。

智は、宇宙のように、毎日、大爆発を繰り返し、無限に拡大している。


最大公約数の住民福祉を議論するとなると、私たち政治家は、広く浅くか、狭く深くかの選択はあれ、日々、学習することは必須である。

また、民主主義が揺らいでいるこの時代に、住民がしっかり市民(大人)としての責任を果たすためには、やはり、無知は子どもたちのために大いなる罪となる。

ゆえに、一番、学習を心がけるべきなのは、私たち大人(責任世代)ではないだろうか。


近年、私は私。というようなフレーズをよく耳にするが、

私とは誰か?一体何者なのか?

それをしっかり説明できる方は、少ないようにも思える。


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