「三重こども食堂ミーティング」へ参加してきました。1部、2部構成で行われ、主催は、第1部 NPO法人全国子ども食堂支援センター・むすびえ、三重こども食堂ネットワーク、第2部 三重県でした。
※県の主催でもあり感染対策は万全でした。広い会場には、25名程度しかいませんで、写真のように長机に1人がけでした。
いなべ市には現在3つの子ども食堂があります。
最初に民生委員や児童福祉委員の方々が中心となり立ち上げた「この指とまれ みんな食堂」さん。
2019年12月に活動を開始した「モモ+いなこね いなべきずな食堂」さん。
そして、最近、活動を開始した「しらゆり」さん。
私がスタッフ(駐車場係)で関わっているのが、きずな食堂です。
コロナ禍の中、この3食堂は社協と連携し、表面的にはフードロス削減をうたいながらも、フードパンドリーを行った。また、きずな食堂は、市内の居酒屋(おじぃさん)と連携し、お米やカレーの配布を行ってもきた。
ブログを書く前に、ふと記憶をたどってみました。
初めて子ども食堂を訪れたのは2016年、山田和美さんが経営するカフェ、四日市の55カフェでした。フェイスブックで情報を知り、スタートしたばかりの子ども食堂に見学がてら食事にうかがいました。
その後、県主催のシンポジュームに参加し、そこで、三重県ではじめて子ども食堂をはじめられた、桑名の「NPO法人・太陽の家」さんを知りました。すぐに、見学に行かせていただき、代表の対馬さんから、いろいろな話を聞きました。そんなこんなで、ごくたまにですが、太陽の家のこども食堂には伺うようになりました。
2018年12月に「広がれ、こども食堂の輪!全国ツアーinみえ」と題した、県レベルでの子ども食堂を普及させるためのイベントを、太陽の家が県の協力を得て誘致。私を含めた、関心があるいなべ市民のみなさんが実行委員として参加。
このイベントを契機に、「三重こども食堂ネットワーク」が立ち上がり、現在三重県内、26の子ども食堂がオンラインで定例会を行い、課題解決や情報共有をして現在に至ります。
前振りが長くなりましたが、今回の「三重こども食堂ミーティング」は「三重こども食堂ネットワーク」が主催者のひとつとなった企画です。
第1部 子ども食堂ミーティング
・基調講演
演題「全国の子ども食堂の現状と行政や地域との連携について」
講師 NPO法人全国子ども食堂支援センター・むすびえ理事長 湯浅 誠氏
2008年(平成20年)末に日比谷公園で行われた「年越し派遣村」の”村長”として、その名を広く知られた湯浅 誠さん。2009年10月、民主党政権下、菅直人 副総理兼国家戦略担当大臣に要請され、10月26日内閣府参与に就任したことでも知られています。2018年4月、「こども食堂安心・安全向上委員会」を発足させ、こども食堂の保険加入のためのクラウドファンディングを行った。また、同時に全国のこども食堂数を調査し、発表した。その数は、2286箇所。
2018年12月、全国のこども食堂を支援するための民間団体「全国こども食堂支援センター・むすびえ」を設立。理事長に就任。(Wikipediaより一部引用)
(以下、レポートは篠原本位のポイントと私見です)
湯浅氏は、特にコロナ禍で様々な活動が自粛する反面、さらに活動を続け、強化した代表的なものが「子ども食堂」であったという点に着目し、その大目的が、従来から言われてきた「子どもの貧困への食からんアプローチ」から、「地域を支えるために」=「つながりの維持」へ進化したと見解を述べた。
「三重こども食堂ネットワーク」に加盟する多くの子ども食堂が、コロナ禍で食堂の活動は自粛したが、フードパントリー(ひとり親家庭や生活困窮者など、生活に困っている人を対象に食品を無料で配付する事業。 )やテイクアウト、食糧品配布にシフトし、少ないスタッフらが、疲弊するほど、活動を活発化していった。(オンライン定例会やLineで活動報告を聴いてきました)
湯浅氏は「地域の結びつきのためならなんでもするという民間団体は、自治会しかない。そういう意味では、今や地域食堂としての活動が多い子ども食堂は、準自治会的な位置づけで活動していくことが、その方向性である」と。
私も、全世代横断型福祉をめざす地域包括的な福祉体制の構築。反面、自治体加入率が低下している現実のなかで、新しい地域コミュニティ維持のかたちの構築に、すぐに取り組まねばならないと考えている。また、それは、高齢者の見守り、子ども通える範囲での居場所、情報共有のエリア的親和性から、小学校区単位が妥当だと考えてきた。
湯浅氏の「各小学校区にこうした居場所があるのが理想的である」との提言には全くの同感である。
いなべ市の場合、特に高齢者見守りの視点で、立ち上げられた地域福祉委員会は、自治会単位とされるが、その上の1.5層体は、中学校区単位(旧町エリア)で、地域課題を共有し解決するのは広すぎるし、住民の精神的、行動範囲(近所=散歩エリア)の親和性は薄い。今後展開していく、地域参加型の教育のかたち、コミュニティスクールに地域学校協働活動※も盛り込まれるなら、小学校区単位を地区の包括的な福祉エリアとすべきである。
※地域学校協働活動とは https://manabi-mirai.mext.go.jp/torikumi/chiiki-gakko/kyodo.html
また、これもまだ高齢者目線での発想だが、いなべ市が展開している、暮らしの保健室も市の構想は中学校区に1つ。
なんとなくだが、市主導で行い、社協やNPO法人に委託するため、財源や人材の関係から、落とし所という意味で、旧町単位に考えているのではないかと、私は思っている。(あくまで私見)
近年、児童虐待の相談件数が急増している。これは、潜在的なものが顕在化してきたとの見方もあるが、自治体や児童相談所は、完璧な対応はできず、実際は緊急を要する案件が優先され、トリアージされているだろう。
湯浅氏は「放置された黄信号が、赤信号に変わっても、誰も気がつけない。対応しないでいるうちに事件に発展する可能性は十分ある」という。自治体だけではすでに対応できない部分は、子ども(地域)食堂(みんなの居場所)を含めた民間団体・個人がケアーしていく必要がある。
若い人たちの意識は、地縁から無縁になりつつある。私は、いなべ市のような、いわゆる田舎といわれている地域も、SNS世代でもある若い人の意識は都市型ゆえに、今後は、実生活の場からの無縁の落とし穴があるように考えている。現に、いなべ市の自治会加入率は60%台(四日市市や鈴鹿市は80%台)である。市は一般質問等の答弁で「大企業の工場があり、賃貸住宅に住む独身の一人世帯も多い」と説明をしているが、この現状は非正規雇用の世帯が多いともとれる。また、外国人世帯も多い。(鈴鹿市社会福祉協議会は、今回のミーティングでの取り組み報告で、自動車関連工場が多い当市について、こうした世帯が多く、そうした世帯を見守ることの必要性にふれていた)。また、若い世帯の平均所得は年々下がっている。貯蓄も高齢者世帯と比べて、明らかに少ないのは、統計を見ても明らかだ。
また、昨年、いなべ市議会の都市教育民生委員会で、所管事務調査として、民生委員の方々に高齢者の見守り活動についてヒアリングをしたが、高齢者が増加する中、年々、地区によっては、民生委員1人が見守る量的な限界がきているとの意見を多数お聞きした。民生委員は法律で人口に対しての人数(配置)制限があり、勝手に数を増やすことはできない。また、そのフォロー役として、自治会に地域福祉委員会を設置し、福祉委員を配置することを、市が促進しているが、自治会長のなり手を探すのが苦労している自治会が、簡単に役職を増やすことなどできず、全自治会設置には、かなりの時間を要するか、今の任意でのやり方では不可能だろう。しかも、今後は定年年齢が延長されていく。
そうした意味でも、湯浅氏の「地域の(気軽な)居場所としての子ども(地域)食堂の役割は大きい。準自治会レベルでもある」という提言には、痛く共感した。また、湯浅氏が最後に付け加えたように「それは、もはや食堂でなくてもよい」との言葉にも大いに同意する。
(つづく)
●参考サイト
三重こども食堂ネットワーク https://www.miekodomo.com/
NPO法人全国子ども食堂支援センター・むすびえ https://musubie.org/
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